2026年8月24、25日はSAFセントラルバンドの来学とジョイントコンサート、そしてその翌日は香港からNova Wind Orchestraという青少年コミュニティバンドの皆さんが横浜キャンパスに来てくれました。
このNova Windも昨年のAPBDAシンガポール大会でご縁ができて、指導者で指揮者のEdith Tam 先生のぜひ次の夏休みに日本に行きたい、交流の機会を持って一緒に演奏したり合奏指導も受けたい、との希望から実現したものです。バンドのメンバーは40名ほど、15歳くらいから24〜25歳くらいまでの若者たちで、神大に来る前に横浜の中高生のバンドと合同コンサートをやったりしながら約1週間の日本滞在、SAFセントラルバンドとのジョイントコンサートにも全員で聴きに来てくれました。


学内練習場でのミニコンサートですが、前日までのSAFバンドメンバーよりもさらに年も近くてすぐに打ち解けて、おしゃべりも演奏も楽しさ全開、アニメ好きの子も多くてかなり日本語も通じます。Edith先生曰く、香港にも中高にたくさんバンドはあるけど、練習環境や指導者不足等でなかなかみんなが満足のいく活動ができてるわけではない、このバンドはコミュニティバンドだけど個々の楽器や合奏の上達を目指して、オーディションもしてメンバーを集めて意欲的に活動しているそうです。でも香港はそもそも非常に土地が狭くて練習場所を確保するのも一苦労、それも狭くて使用料もとても高い、大きな打楽器は置き場所もなくて、中古の楽器で使えるものを貰い受けたり安く譲ってもらうなどしてるけど、それでも足りていない、、となかなか苦しい運営事情もお聞きしました。いずこも指導者の苦労と努力は並大抵ではないのです。
さらにいうと、今香港は中国政府の厳しい監視下にあり、子供のコンサートのプログラムでさえチェックが入って変更させられることもあったり、ミュージシャンやアーティスト、ジャーナリスト、一般の市民でも言動に注意しないとある日突然警察が来て収監されるような状況。以前のような自由で活気あふれる香港とはかなり様相が変わってしまってる、と。この日 Nova Wind が演奏した曲は『80日間世界一周』と、香港の伝説的なロックバンドBeyondの楽曲を今回のNova Windの日本ツアーのために特別にアレンジした『The Boundless Sea & Sky』(無限の海と空、という意味です)、そして日本のシンガー米津玄師の『Iris Out』でしたが、「80日間世界一周」もBeyondの「Sea & Sky」も、世界は広く人は自由で、信念を持って進め、というメッセージ、現状は辛くても若者たちが萎縮していろんなことを諦めてしまわないよう、希望を失わず仲間たちと力を合わせて少しづつでも良い方へ変わっていってほしい、というEdith先生たちの願いが込められたプログラムでした。
そういう香港の事情と選曲の意味を学生たちの前でEdith先生がきちんと説明してくれたのですが、神大に来る前に他の学校との合同演奏の時にもそういう話をしたら、Nova Wind の子達が香港に帰りたくない!と泣いてしまった、とおっしゃっていました。それほど身近に厳しい統制の犠牲になった人がいたり、理解しがたい政府による横暴があるのだと思います。多分Beyondの楽曲も今の香港では演奏できないのでしょう。それをわざわざ日本で演奏するために練習してきてくれて、きっとNovaの若いメンバーたちも辛い気持ちはあるけどこの素敵な香港人のオリジナルを聴いてほしい、と思いながら演奏してくれたと思います。
SAFセントラルバンドはシンガポール国家が有する軍楽隊で優秀な若いプロ奏者たちのバンドで、シンガポール自体建国61年目という若い国だし戦争そのものはしたことがないはずですが、あの裕福でハイレベルなインフラを維持向上し治安も維持していくために、非常に厳しい法律と関係国との軍事的緊密さがあります。平和を維持するために軍隊がある、という逆説的ロジック、今の世界の危うい均衡が核を含む武力で保たれていること、あまりにも複雑かつ強力な権力構造のために現代の世界情勢は落ち着かず、連日のように胸が苦しくなるような出来事や、それによって加速する気候変動からの大災害の増加に、もう呆然と立ち尽くすような気持ちに私はなってしまうのですが、それでも!、それでもやっぱりどうしても諦められない、音楽が好き、合奏が好き、言葉も国境も人種も超えて仲間たちと演奏したい、という若い世代がいる限り、しょうがないよね、とは言いたくない、唯一の希望が若者たち、子供たちが未来だからです。


この日、神奈川区の多文化共生ラウンジの皆さんもこのイベントを聴きに来られ、外国ルーツの子供達や保護者、年配の方達20名ほどが日本と香港の若者を温かく見守ってくれました。大学という場所は知と友情を育む場所であり、それを求める者は国籍も年齢も問わない、それぞれには様々な事情はあるけど、心を開いて声を掛け合って知らなかったことに気づいたり、互いに持つもの思うことを分かち合い、一緒に楽しい時間を過ごしたり刺激し合って成長するための機関でもあります。私はここでもうウン10年と指導に携わっていますが、大学の吹奏楽部としてできること、存在意義にさらに大きな喜びを感じました。まぁあの、以前は円が強くて海外のバンドがそんなにしょっちゅうは来られないとか、そういう変化も大きいんですけど笑、ともあれアジアの近しい仲間たちととても有意義で気持ちのいい交流ができて、本当に楽しくてやり甲斐のあったこの数日のことを、今後も忘れることはないと思います。一緒に演奏した皆さん、聴いてくれてた皆さん、影に日向に尽力してくれた関係者の皆さん、またぜひお会いしましょう!世界は広いけど心はすぐ隣だから!^ – ^























































